子どもたちの経験談~26年3月28日「多様な進路交流会」での語り~
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子どもたちの経験談~26年3月28日「多様な進路交流会」での語り~

 不登校状態にある子はどんな思いを持っている?不登校を経験した子はどんな進路を歩み、今その経験をどう感じているのだろう?――そんな問いを持っているみなさまに、不登校を経験した3人の方の声をお届けします。

 2026年3月28日(土)に三茶しゃれなあどホールで行われた「不登校経験者による多様な進路交流会」では、不登校を経験した3人に当時と今の思い、歩んだ進路について語っていただきました。

 

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ーーまず、自己紹介をいただけますか。

Staff member avatar Aさん
現在は正社員として事務職で働いています。少し前まで結婚していましたが、今は離婚して4歳の子どもと一緒に生活しています。働きながら子育てもしているという感じです。小学校に入学後2ヶ月通ったのですが、そこから一切行かずに中学校も卒業しました。そして卒業から2年後、17歳のときに通信制高校に入学しました。

 

ーー不登校の時期、どんな気持ちでどのように過ごしていましたか?

Staff member avatar Aさん
私には2つ上の兄がいるのですが、その兄も不登校だったんです。なので、親から「学校に行きなさい」というプレッシャーが兄に向かっていて、私はあまりそういう圧力を受けずに済みました。兄に守ってもらっていた部分があったなと思います。小学校の時代は近所に友達もいたので、特別つらかった記憶はないのですが、中学に上がるころに引っ越しをして、友達が一切いなくなってしまいました。それからは家族以外とのつながりがほとんどない状態になって、用事がなければ外にも出ない生活になりました。

祖母が母のいない時間を見計らって家に来てお昼ご飯を持ってきてくれたりしていたのですが、「学校に行け」とは言われないものの、「家にいるなら何かしなければいけない」というようなことを言われるのがストレスでしたね。母はそういった親戚からの言葉をできる限りシャットアウトしようとしてくれていましたが、母のいない時間を狙ってやってくるので、なかなか防ぎきれなかったみたいです。

 

ーー不登校の時期、不安だったこと・逆に安心できたことを教えてください。

Staff member avatar Aさん
安心できたことは、母がずっと守ってくれていたことです。学校に行けとか勉強しろといったことを私に言うことは一切なく、そのおかげで今の自分でいいんだと思えていました。

不安だったのはお金のことです。中学1〜2年のころに親が離婚して母子家庭になり、兄がいじめにあっていたこともあって、ほしいものを買いまくるという行動に走ってしまっていて。子どもながらに家のお金が大丈夫かという不安がずっとありました。学校の勉強というよりも、この先生きていけるのかという、もっと根本的なところの不安が大きかったですね。

 

ーー次のステップへ進もうと思ったきっかけを教えてください。

Staff member avatar Aさん
通信制高校に通っている子たちが周りに意外と多くいて、そういう道もあるんだと知りました。将来何かあったときに卒業資格があると便利だなと思ったこと、それから学校自体にそこまで抵抗がなかったことが重なって、「じゃあ行ってみようかな」という感じで17歳のときに通信制高校に入学しました。勉強については、漢字の書き方もわからないところからのスタートでしたが、パソコンで調べながらレポートをこなしていきました。月1〜2回の登校日は何とかして乗り越えて、赤点にだけはならないようにというモチベーションで続けられましたね。

 

ーー親や周囲の大人にされて嫌だったこと・嬉しかったことを教えてください。

Staff member avatar Aさん
嫌だったのは、兄と私への対応の差を感じたことです。兄はいろいろと大変だったのでサポートが必要だったのはわかるのですが、「私のことは見てもらえているのかな」という不安はありました。ゲームも兄には2本買ってもらえるのに私には買ってもらえない、みたいなこともあって(笑)。

嬉しかったのは、私が通信制高校に行くと決めたときや、アルバイトを始めると言ったとき、母がものすごく大げさに喜ばなかったことです。「そうなんだ、じゃあそうしようか」という感じで受け止めてくれました。もし大きく喜ばれてしまったら、それまでの自分がダメだったということになってしまう気がして。そっと受け入れてもらえたことがとてもありがたかったです。

 

ーー不登校のメリット、気づいたことがあれば教えてください。また、今大切にしていることも聞かせてください。

Staff member avatar Aさん
タイピングがすごく速くなりました(笑)。当時オンラインゲームにはまっていて、仲間とやり取りするためにとにかく速く打たないといけなかったので。その経験が今の仕事でも活かされています。あと、人に頼れなかった分、自分でなんとかする力がついたと思います。店員さんに聞けないから自分で計算方法を調べる、みたいなことが積み重なって、自分で納得しながら動く力が養われた気がします。

 

ーー最後に、今悩んでいる当事者や保護者の皆さんへメッセージをお願いします。

Staff member avatar Aさん
親が不安になるのは当然のことだと思います。私も今4歳の子どもがいて、その子が学校に行かなかったら…と考えると、やっぱり心配になります。でも大人になってみると、レールを外れることって実はそんなに大ごとじゃなかったなと思えてくるんですよね。子ども一人ひとり、個性も性格も、特性も環境も違います。何をすれば大丈夫、という答えは一つではないけれど、私のように学校にも行かず、感情もうまく整理できないまま大人になっても、なんとかなっています。本当になんとかなるということを、伝えたいです。

 

ーーまず、自己紹介をいただけますか。

Staff member avatar Bさん
小学3年生から中学3年生まで不登校でした。フリースクールに通っていて、そこで今日の登壇者とも出会いました。先日大学を卒業しまして、これから大学院に進学して研究に励む予定です。生物の分野で研究をしていきたいと思っています。

 

ーー不登校の時期、どんな気持ちでどのように過ごしていましたか?

Staff member avatar Bさん
家でゲーム三昧でしたね(笑)。朝起きてから寝るまでずっとゲームをして、またゲームをして、こたつでごろごろしながらお菓子を食べる生活です。当時の自分が何を思っていたかを探そうとしても、正直あまり覚えていないんですよ。学校に行かないで勉強もしないのが楽だなあというくらい、すごく楽観的に生きていたんだと思います。

不登校になった直後は、さすがに親もかなり動揺して「勉強しなさい」「学校に行きなさい」とよく言われていました。父が結構厳しくて、ベランダに閉め出されたこともありました。ただ、だんだんと父も変わっていって、最終的には「自分のやりたいように生きなさい。でも進路のことは自分で考えなさい。」と言われるようになりました。苦しかったとか苦労したという記憶はほとんどなくて、最初のころが少し面倒くさかったかなというくらいです。

 

ーー不登校の時期、不安だったこと・逆に安心できたことを教えてください。

Staff member avatar Bさん
不安だったのは、やはり勉強のことですね。小学3年生から中学3年生まで6年間不登校だったので、算数も足し算・引き算・かけ算くらいはできても「分数は何ぞや」というレベルで。フリースクールで出会った先輩が「夜間定時制もあるよ」と教えてくれて、そこから高校に行きたいという気持ちが生まれました。入試があるので勉強を始めようと思ったのですが、英語に至っては最初アルファベットの大文字の書き方から覚えはじめるくらいで、これで間に合うのかという不安は一番大きかったですね。

でも、間に合いました。ギリギリではありましたが(笑)。中学生くらいの年齢になると脳の吸収力も高いので、受け身で流れてくる授業と自分がやりたくてやる学習では、吸収の速さが全然違う。Be動詞も一般動詞もスラスラと頭に入ってきました。やりたいという気持ちがあれば、6年分が1〜2年で追いつけることも十分ありうると思います。

安心できたのは、お母さんが「学校に行け」「勉強しろ」と一切言わなかったことです。自分の感情を整えてくれていたので、今の自分でもいいんだなと思えていました。

 

ーー次のステップへ進もうと思ったきっかけを教えてください。

Staff member avatar Bさん
2つあります。まず、フリースクールの先輩が夜間定時制を教えてくれたこと。もう1つは、高校入学後しばらくして「勉強って楽しいかも」と気づいたことです。勉強をやっていくうちに、子どものころ生き物や虫が好きだったことを思い出して、じゃあ生物系を勉強してみようと進路を決めました。やればやるだけ伸びる実感があって、入試直前には数学が78%まで取れるようになったときは本当に手応えを感じましたね。ゲームの経験値が上がるような感覚に近くて、楽しかったです。

 

ーー親や周囲の大人にされて嫌だったこと・嬉しかったことを教えてください。

Staff member avatar Bさん
中学2〜3年のころ、友達とゲームセンターで遊んでいたら夜の18時を過ぎてしまって、私服警官に補導されたことがあるんです。帰宅して親に怒られたのはまあそうだなと割り切っていたんですが、そこで「不登校だから補導されたんじゃないの」という一言が飛び出して。それが一番嫌だったことですね。3日間口をきかなかったほどの大喧嘩になりました。

嬉しかったのは、進路についてガミガミ言われず、「働くなり進学するなり、困ったことがあればいつでも相談しなさい。でも自立はしなさい。」と言われていたことです。自分で考えて動けという姿勢で見守ってもらえたのが、今思えば一番ありがたかったです。

 

ーー不登校のメリット、気づいたことがあれば教えてください。また、今大切にしていることも聞かせてください。

Staff member avatar Bさん
自分で考える力がついたことだと思います。学校というレールから外れると、自分がどうしたいかを自分で考えなければいけない状況になりますよね。大学に入ってから周りを見ていると、意外と単位を落としている人がいて。自分は「勉強しなかったらできない」という怖さを知っているので、試験前にはちゃんとやろうという気持ちが自然に出てきます。しんどい経験をしてきたことが、今の自分の行動力や粘り強さにつながっているんだと思います。

 

ーー最後に、今悩んでいる当事者や保護者の皆さんへメッセージをお願いします。

Staff member avatar Bさん
人生、意外となんとかなります。自分の好きなことをのびのびやってほしいし、周りと比較しないでほしいです。自分は自分、相手は相手です。保護者の方へは、言いすぎないでほしいということを伝えたいです。植物も水を与えすぎると枯れてしまうように、子どもも言いすぎると追い詰められてしまうことがある。のびのびと自由に過ごせる環境が、その子に合っているかもしれません。

 

ーーまず、自己紹介をいただけますか。

Staff member avatar Cさん
今高校2年生で、来年の4月から3年生になります。不登校だったのは中学3年生の1学期の終わりごろから中学3年の最後までです。ずっと学校がしんどいなと思いながらやっていました。今は高校に通いながら、ボクシングとキックボクシングをやっています。

 

ーー不登校の時期、どんな気持ちでどのように過ごしていましたか?

Staff member avatar Cさん
学校を休んでいた期間は、もう格闘技づけの毎日でした。勉強も全然できていないし、友達とも全然遊んでいなかったので、格闘技の道で頑張ろうと思って、毎日練習していました。

実は、中学の間は野球部に入っていたんです。体を動かすのは好きで、部活や体育は楽しかったんですよ。ただ、授業の勉強が本当にだるくて。数学で意味のわからないアルファベットが出てきたときには「これ英語の授業ですか?」という感じで(笑)、授業を抜け出してしまうこともありました。部活の引退と同時に、学校に行けなくなってしまった感じです。

 

ーー不登校の時期、不安だったこと・逆に安心できたことを教えてください。

Staff member avatar Cさん
不安だったのは、このままでいいのかなということです。好きなことだけをずっとやっていたので、ふと「格闘技ができなくなったらどうしよう」と先のことを考えてしまって。逆に安心できたのは、自分の好きなことだけをやれる環境にいられたことです。そこだけはすごく安心していました。

 

ーー次のステップへ進もうと思ったきっかけを教えてください。

Staff member avatar Cさん
中学3年生の12月頃、いろいろな高校の見学に行きました。週2日だけ通うコースがある高校があることを知って、これなら格闘技と両立できると思いました。また、通っているキックボクシングのジムのトレーナーが今の世界チャンピオンなのですが、そのトレーナー自身も通信制高校出身で、「週2日学校に行って、あとは全部練習の時間にしてみたら」とアドバイスをくれたんです。世界チャンピオンが言うならそうかな、と思って(笑)。今でも両立は簡単ではなくて、テストを2回落としてしまったこともありました。でも先生に再挑戦の機会をいただいて、なんとか合格できました。

 

ーー親や周囲の大人にされて嫌だったこと・嬉しかったことを教えてください。

Staff member avatar Cさん
嫌だったのは、一番しんどかった時期に「高校どうするの」「勉強どうするの」と言われ続けたことです。学校というものをいったん忘れたかったのに、そこへの圧力がずっとあってつらかったですね。

嬉しかったのは、お母さんが格闘技のジムを一緒に探してくれたこと、試合に応援に来てくれたことです。先日の試合で勝てたとき、お母さんへのプレゼントになったかなと思っています。

 

ーー不登校のメリット、気づいたことがあれば教えてください。また、今大切にしていることも聞かせてください。

Staff member avatar Cさん
自分の好きな時間を確保できたことです。普通に学校に通っていたら、格闘技の練習に充てられる時間は夜しかなかったと思うんですよ。でも不登校だったおかげで、午前中もジムに行って、夜もジムに行くという生活ができた。プロを目指すためのスタートとして、あの時間があったことは大きかったと思っています。

不登校ってネガティブなイメージを持たれがちだと思いますが、次にやりたいことを準備する時間でもあると感じています。あまりマイナスに捉えすぎないでほしいですね。

 

ーー最後に、今悩んでいる当事者や保護者の皆さんへメッセージをお願いします。

Staff member avatar Cさん
学校に無理に行こうとし続けると、やっぱり苦しくなります。行きたくないと思ったら、まず「3日間休もう」と決めて休んでみる。3日後にまたやれそうだったら行けばいいし、やれなければもう少し休む。一個一個、小さく区切っていくと気持ちが楽になると思います。

 

 いかがだったでしょうか。

 今回は3人の方に、不登校だった当時のこと、そして今に至るまでの歩みを語っていただきました。ひとくちに「不登校」と言っても、それぞれの経験は全く異なります。それでも3人のお話に共通していたのは、「なんとかなった」という言葉でした。

 世田谷ブライトネットワークでは、不登校を経験した方やその保護者の経験談を発信しています。他の方の声もぜひお読みください!

 

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