保護者の経験談~26年3月28日「多様な進路交流会」での語り~
子どもが学校に通わなくなったらどうしたらいいの?不登校の子と一緒にどうやって進路のことを考えていけばいいのだろう?――そんな思いをお持ちのみなさまに、不登校状態になった我が子と向き合ってきた保護者の方3人の声をお届けします。
2026年3月28日(土)に三茶しゃれなあどホールで行われた「不登校経験者による多様な進路交流会」では、3人の保護者の方に、お子さんが不登校だった当時の気持ち、失敗したこと、そして子どもの進路にどう関わってきたかなどを語っていただきました。
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ーーまず、自己紹介をいただけますか。
ーー不登校になった当時、どう感じ、どう対応しましたか?
ちょうど引っ越しを機に地元の中学に転校したんですが、1週間ほどで行かなくなって。夫婦で「学校に行くべき」という気持ちが強かったですし、当然周りの親御さんも行くべきだという目で見てくる。子どもに当然のように言い聞かせていましたが、聞こえるわけがないですよね。
1週間が1ヶ月、2ヶ月と続いて、言っても無駄だと気づいてきた頃も、まだ子どもの気持ちや意向に寄り添えていなかったんです。自分たちがどう見られるかという親の評価が気になってしまっていて。今となっては間違いだったと思いますが、そこに気づくまでにはまだまだ時間がかかりました。
3ヶ月ほど経って半ば諦めの気持ちになってきた頃、本人とどうしたいか話す中でフリースクールの名前が出てきました。私はフリースクールという言葉を聞いたこともなくて、調べてはみたものの、フリースクールに行ったら一般の中学には戻れないだろうと思ってしまって。なかなか賛成できずにいました。ちょっとどうしようかと相談した先に、「行きたいって言ったら来てください」と言っていただいて、朝からちゃんと行けるのなら、と行かせてみることにしました。
一方で家ではゲーム三昧、昼夜逆転の生活が続いていて、体を壊すんじゃないか、食べ物も食べていない、日にも当たらないという不安を長く抱えていました。相談できる場があったことで、親としての自分が少しずつ動き出せたかなと思っています。
ーー失敗したと感じることがあれば、教えてください。
何も言わずに、ただ静かに見守るというのが一番できなかったことでした。性格にもよるかもしれないんですが、口を出さずに見守ることが、自分には本当に難しかったです。子ども側からしたら、それを一番望んでいただろうと今は思います。もっと早くお子さん側の意見に耳を傾けていたかった、というのが正直なところです。
ーーお子さんの進路について、きっかけや親としての関わりを教えてください。
高校はオンライン授業だったので、いつやっているのか何をやっているのか成績も全くわからないまま3年間過ごしました(笑)。興味のないふりをして見守って、ギリギリでも課題を出して3年で卒業しました。
大学に行きたいと言い出した時は、中高6年間全く勉強していないわけですから、私もちょっと難しいだろうなと思っていました。高校から推薦入学できる大学がたくさんあったので挑戦したのですが、不合格になって。「1年間勉強させてほしい」と自分から言ってきたので、様子を見ることにしました。
自分の性格をよくわかっていて、近くの塾だとサボるだろうから、と電車で20分ほどの遠い塾を自分で探してきたんですよ。後半は家庭教師もいろいろ自分で調べて、相性のよい先生を見つけて、無事合格しました。今は大学2年生で、なんとか通っています。
勉強に関して言えば、若いうちの吸収力は本当にすごい。私たちとは違って、いくらでも取り戻せる時間がある。そこはご心配なく、とお伝えしたいです。
ーー最後に、今悩んでいる保護者の方へメッセージをお願いします。
ーーまず、自己紹介をいただけますか。
うちの子ども2人はいわゆる発達障害、今の言い方では神経発達症と呼ばれる特性を持っています。ただ、「発達特性があるから不登校になるわけではない」ということはいつも強く主張したいと思っています。
ーー不登校になった当時、どう感じ、どう対応しましたか?
一旦レールを外れてしまったら戻れないんじゃないかという気持ちが本当に怖くて、毎日崖っぷちを一人で綱渡りしているような気持ちでした。今思うと、その10年前の自分に「スピンオフルートでも行けるよ」と言ってあげたいんですけど、当時は落ちたら終わりだと思っていました。
娘の時は2度目の子どもの不登校で、うちは子どもが2人とも不登校だったので、100%不登校の方が普通なんじゃないかという感覚にはなりましたが(笑)、娘のきっかけがいじめだったので、学校との交渉や立ち回りを考えると、また絶望しました。息子の不登校対応で培ったノウハウは、娘には全く使えなかったですね。それぞれ全然違うんです。
ーー失敗したと感じることがあれば、教えてください。
娘は息子ばかりに手をかけている私たちのことを不満ではなく、「寂しい」と思っていたようで、塾の作文の宿題で親への思いを書いてきたことがありました。「大人は理不尽だ。私は毎日学校に行っているのに、誕生日に自転車を買ってもらえなかった。兄ちゃんは1日行っただけでかっこいい自転車を買ってもらった。」という内容で、塾から「本当ですか」と電話がかかってきました。その時に初めて、娘も困っているし、私たちへの不満を抱えているんだと気づきました。
子どもの気持ちより、私が困っていることを解決したいという気持ちが先に出てしまっていて、あの頃の私は「学校に登校してくれれば問題解決だ」と思っていましたが、全然違いましたね。
ーーお子さんの進路について、きっかけや親としての関わりを教えてください。
ただ、親が思う「高校に通う」の中身と、息子の「通う」の中身が全然違っていましたね。卒業に関係ない授業は午後から行かないとか、そういうことを平気でやる。「これはもう方向性の違いで解散だな」などとも思いましたが(笑)、第三者であるカウンセラーにずっと見てもらったからたどり着けた道で、私たちだけではどうにもならなかったと思っています。
大学については、「就職もしたくないし、何もしたくない。でも大学の方が楽かもしれないから、今の実力で行ける大学を探して行く。」という息子の言葉で進みました。書くのが苦手だったのでマークシート式の入試の大学を選んで、塗りやすいシャープペンと消しやすい消しゴムをダイソーで買って受験に行って、合格しました。大学の成績もよかったのですが、理由は「苦手な科目を履修しなかったから」だそうです。一発試験より得意なレポートがある授業だけを取るとか、徹底していましたね。
娘は通信高校から総合型選抜で大学に進みました。入ることと継続することは別で、合理的配慮を受けながらいろいろ工夫しています。
ーー最後に、今悩んでいる保護者の方へメッセージをお願いします。
自分が思っている困り事と、我が子が思っている困り事が違うことにショックを受けたり、自分自身を否定されたような気持ちになって苦しくなることもあるかもしれません。でも、ここにいらっしゃる方は決して一人ではありません。問題解決のための魔法の杖はないけれど、一緒に話してくれる信頼できる人を探してください。必ずどこかにいます。
ーーまず、自己紹介をいただけますか。
ーー不登校になった当時、どう感じ、どう対応しましたか?
1年ほどは「学校に行ってないだけだし」と自分に言い聞かせていたんですが、さすがにしょうがないと思って学校のスクールカウンセラーに相談しました。その時息子は37.3度くらいの熱がずっと下がらなかったんですが、カウンセラーに「なんで熱が下がらないんでしょう」と言ったら、「学校に行きたくないって言えないから体に出てるんですよ」と言われて。確かに自分の言いたいことを言わない子だったので、「これはもう無理って言ってるのか」と初めて腑に落ちた気がして、不登校を受け入れようと思いました。
実際、解熱剤を飲ませて熱を下げて学校に行かせようとしたら、次の日には38度になっていて。「もう行かなくていいよ」と伝えたら、熱がすっと下がりましたね。
ーー失敗したと感じることがあれば、教えてください。
そこからは2〜3ヶ月、何も言わずに好きにさせるようにしました。息子に言ったのが、「自分で思っていることが自分の正解だから、私が受け入れられないことでも、あなたの正解なら聞かせてほしい」ということでした。そこからポツポツと自分の思っていることを話してくれるようになって、関係が少しよくなっていきました。
あと、下に2歳離れた弟がいるんですが、兄のことでいっぱいいっぱいで全然見ていなかったんです。学校に行っているからいいやと思っていたら、実は弟もかなり爆弾を抱えていました。兄の方が少し落ち着いてきたら、弟の導火線に火がついてきた感じで、その時点でケアを始めたのでなんとか踏みとどまれました。本当に兄には感謝しています。
ーーお子さんの進路について、きっかけや親としての関わりを教えてください。
中3の8月にチャレンジスクールの校長先生と話す機会があって、「昼から行ける学校がありますよ」と教えていただいて。昼夜間定時制高校というものを初めて知りました。息子に伝えたら「そんなのに行っていいの?そんな遅くから行けるの?」と驚いていて、「それなら行きたい」と初めて言ってくれました。
受験勉強を始めたのが12月で、都立高校の入試まで2ヶ月しかなかったんですが、「勉強する」と自分から言って取り組んで、昼夜間定時制高校に合格しました。10時に起きても間に合う学校で、3年間通うことができて、それが本人の自信にもなりました。
適切な進路の情報を親が集めておいて、その子のタイミングになったら出してあげることが大事だなと思いました。
ーー最後に、今悩んでいる保護者の方へメッセージをお願いします。
「お母さんが今日楽しそうだな」「機嫌よさそうだな」と思うだけで子どもはほっとするんですよ。子どものことが心配で心配で、どうしても視野が狭くなってしまうけれど、まず自分が楽しんでください。
いかがだったでしょうか。
今回は3名の保護者の方に、お子さんが不登校だった当時の気持ち、失敗したこと、そして子どもの進路にどう関わってきたかを語っていただきました。それぞれの経験は異なるけれど、お三方に共通していたのは「信頼できる人とつながり、保護者自身がエネルギーを回復させることの大切さ」ではないかと思います。
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