
学校に行かない・行けない またはその経験のある 中高生世代の居場所「Ho-Ho(ほーほー)」訪問レポート
今回は、特定非営利活動法人Learninn for All が運営する、世田谷区八幡山にある子どもの居場所「Ho-Ho(ほーほー)」に伺い、子どもたちと一緒に過ごしてきました。
Ho-Hoは、大きな通り沿いのバス停の目の前にあるマンションの一角で運営しています。近くには体育館やスーパー、ホームセンターなどがあり、体を動かしたり、料理したりと様々なことにチャレンジしやすそうな立地でした。
2024年8月に始まり、現在は火曜日13:30~17:00、水曜日と木曜日11:00〜17:00の週3日間開室しているそうです。学校に行かない・行けない またはその経験のある中・高校生の居場所を提供しており、ゲームやパズルをしたり、お昼ご飯を一緒に食べながらおしゃべりしたり、それぞれに様々な過ごし方ができます。
まず拠点に入ってみて感じたのは、外の車通りの喧噪から切り離された静かな空気です。中は2階建てになっており、1階には、落ち着いて話ができる「面談室」と、静かに過ごしたいときや勉強に集中したい時などに使う「静かルーム」があります。少し気持ちをリセットしたい時に心地よい、静かな空間です。


主にみんなが過ごしているのは2階のリビングです。扉を開けると、「ただいま」と口から出そうになる落ち着いた雰囲気です。人がいる温もりある室内は、寒い外から入ってきた時、とてもほっとします。絵を描いたり、パズルをしたりする創作スペースがあり、ギターやウクレレを練習している子もいて、時におしゃれなカフェのような雰囲気になる時もあるそうです。Switchもあり、プロジェクター投影なので大画面で遊ぶことができます。


最近の流行はテトリスで、上級者の対戦をみんなで観戦していたり、大人数でわいわいエンジョイ対戦をしたりして楽しんでいました。本やボードゲームも様々あり、心地よい賑やかさの中で読書にふけったり、みんなとボードゲームで盛り上がったりと、どう過ごすか気分によって選べる環境が整っていました。

この日はお子さんが5名ほど来ており、将棋をしている子、テトリス対戦をしている子、おしゃべりしている子など、それぞれの過ごし方で楽しんでいました。スタッフは対戦相手になったり、話を聞いていたり、子どもたちのやりたいことができるよう、一緒に過ごしていて、全体は和やかな時間が流れていました。
お昼の時間が近づくと、お腹がすいたお子さんたちが遊んでいた手を止め、無料提供しているお弁当を食べていました。この日は料理に挑戦して自分でオムライスを作っている子もいて、美味しそうなにおいが漂う、楽しい時間でした。
15時になるとお掃除タイムが始まります。参加は自由ですが、参加するとポイントがもらえて、貯まると景品もあるとか・・・。掃除場所はカードを引いてランダムに決まるというワクワク感もある時間でした。私はこの日「サボリカード」を引き当て、のんびりさせてもらいました☆


お子さんたちは、ゲームで盛り上がっている子もいれば、座椅子でのんびりしていたり、スタッフとおしゃべりしていたり、過ごし方は十人十色でした。どんな過ごし方をしていても、それぞれ心地よさそうにしていて、私自身も居心地の良い時間でした。帰りの時間になると、「もうそんな時間なの?」と名残惜しそうにしている子も多く、みんなこの場所で過ごす時間が楽しい時間なんだなと、伝わってきました。
スタッフの皆さんは、話を聞いてほしそうなお子さんには落ち着いた態度で、楽しいことをしたそうなお子さんに対しては一緒に盛り上がっていて、その子に合った雰囲気を醸し出している印象でした。お子さんの興味がありそうなことに「やってみる?」と声をかけていて、実際にアイシングクッキー作りや、クレープパーティーなど楽しい企画も生まれていました。どんな風に過ごしたいのかを伝えやすく、くみ取ってくれるスタッフの皆さんの存在が、お子さんたちの過ごしやすさに繋がっていると感じました。
Ho-Hoの施設長をしている吉原さんにお話を伺いました。
ーーHo-Hoを運営していく中で、大切にしていることは何ですか?
その子の今の状況に合わせて、自分がやりたいことに挑戦することもできるし、でもそれを「一人で頑張れ」じゃなくて、Ho-Hoの友達やスタッフと一緒にもできる、というところを一番大切にしています。子どもたちのやりたいことを大事にしたいのですが、「どうしたい?」って突然聞かれても、難しかったり困ったりすると思うので、「どうしたいか」も一緒に考えられたらと思っています。
「料理がしたい」とか「バスケしたい」とか、日常的な望みでも良いですし、考えたい人は将来についてでも良いし、大小や深さも問わないけれど、小さな事でもいいからやってみたいことを叶えていきたいですね。それを一人でじゃなくてみんなとやったり、誰か見ててくれる人がいたりする場所でありたいと思っています。
ーーやりたいことを後押ししてくれる、一緒に考えてくれる存在がいると、頑張れることも多いですよね。では、これまでHo-Hoで過ごしてきた中で、楽しかった思い出にはどんなものがありますか?
ぱっと思い浮かぶのは、日常ですね。毎日何かしらひと笑いあるんです。イベントとかが無かったとしても、子どもたちの日々の言動とか、子どもたち同士が関わることで起きる面白いことみたいなのがあるんです。
もちろん楽しかったイベントも色々あって、たこ焼き/お好み焼きパーティも楽しかったです。「ふわふわなたこ焼きをつくりたい」っていう希望がある子がいて、その子の興味があることをみんなで一緒に楽しみました。
公園に写真を撮りに行く企画のときは、写真を撮りたくて夢中になっている子もいれば、バドミントンをしたり、皿回しをしたり、とみんなで公園でわちゃわちゃして、それも楽しかったです。
イベントでも日常でも、大人が何か仕掛けるとかをしなくても、その日来た子どもがそれぞれやりたいことをやってるからこそ、面白いことが生まれていて、どの日を振り返っても楽しい思い出ばかりで、絞りきれないですね。
ーー日々が面白いことに溢れているんですね!最後に、Ho-Hoのことが気になっている皆さんにメッセージをお願いします。
「家でまだゆっくり休みたいな」という、エネルギーを溜める段階のお子さんもいると思います。Ho-Hoは、「エネルギーも溜めたいけど、みんなの中にもいたい」という気持ちや、「誰かと何かがしたいかも・・・」という気持ちがちょっとだけ湧いてきた子にぴったりの環境だと思います。通っている子どもたちの中には、「少し自分を変えてみたい」「友達がほしい」「青春がしたい」といった、小さいけれど一歩踏み出してみたいな、という思いの子たちが多いです。
スタッフやボランティアの学生は、先生でも保護者でもない大人で、中高生にとっては普通に生活していたら出会わない大人かもしれません。「斜めの関係の大人」と話してみたいというお子さんにもおすすめです。
今その子にHo-Hoがぴったりフィットするかどうかは、お子さん本人が見てみないと分からないと思うので、少しでも気になる、という方は、親子で見学に来てもらうといいかなと思います。フィット具合を見てもらい、本人が「通ってみたい」と思えたら、一緒にHo-Hoで過ごしましょう!
今回は「Ho-Ho」にお邪魔しました。
今後は体育館で体を動かす日や、遠足を予定しているようです。様々な企画がこれからも予定されていくのが楽しみですね。
ここでは伝えきれていない魅力もまだまだあるので、是非自分の肌で雰囲気を感じてみてください。見学などもできるそうなので、気になる方はお問い合わせや、拠点情報を確認してみてください。