2025年11月22日 講演会「子どもを信じる~思い通りにならない子どもにどう寄り添うか~」レポート(前編)
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2025年11月22日 講演会「子どもを信じる~思い通りにならない子どもにどう寄り添うか~」レポート(前編)

 2025年11月22日(土)、三茶しゃれなあどホールで、世田谷区教育委員会で学校支援アドバイザーを務めていらっしゃる橋本弘美先生による講演会「子どもを信じる~思い通りにならない子どもにどう寄り添うか~」が開催されました。会場には約70名の参加者が集まっていました。

 この記事では、当日の橋本先生のお話のまとめ(前編)をお届けいたします。

 

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子どもには「今はまだできない」ことがたくさんある

 橋本先生は講演の冒頭で、「大人はできなかった時の自分を忘れてしまう」「だから、叱咤激励したり自分の関わり方を変えたりすれば、(子どもが大人の求める行動を)『する』ようになるんじゃないかと思い込んでしまう」と指摘します。

 しかし、この考えには誤解があると、先生は言います。子どもは発達途上にあり、その時期にならないとできないことが沢山あります。大人からすれば「やればいいのに」と考えがちなことも、今のその子にとっては「できない」ことなのかもしれません。心のエネルギーが減っている子どもたちは、正しいことを伝えられたり咤激励されたりしても、その通りにできる状態にないのです。

子どもの行動は、その子からのメッセージ

 では、子どもにとって今できること、今はまだできないことをどう見極めればよいのか。先生はこう言います。「目の前の子どもは今の自分にできる精一杯の状態で皆さんの前にいます。『僕/私ってこうなんだよ』と、全身でメッセージをくれています。」
 学校に行かないこと、ゲームをずっとすること、何もしないでずっと寝ていること。これらは怠けでもなく、わざとそういうことをしているわけでもない。子どもたちの行動は、彼らの大人へのメッセージ、SOSなのです。そして、お家でそういう姿を見せられるということは、お家が安心できる場所であるということ。追い詰められている事態にはなっていないということだと、先生は保護者の方々を励ましました。
 また、発達している最中の子どもの行動には、大人にとってどんなに無意味に見えても、必ず意味があると、先生は説きます。ゲームをしているのは、しんどいことを感じるのをよそに置いておくためかもしれない。自分が楽しいと感じられるもの、やってて面白いと思える時間は、必ずその子にとってエネルギーの元になっているのです。

「待つ」ことが子どもを育てる

 「子どもを信じる」とは、「今はその時じゃない」と「諦める」こと、そしてできるようになる時まで「待つ」こと。「待つ」という最も忍耐の必要な作業を子どもと共にしている、その関わりは必ず子どもに伝わっていきます。親心でたくさん子どもに働きかけたとしても、それが子どもを苦しめ、マイナスに働くこともあります。子どもたちは、大人から見て望ましい方向に進んでいるように見えなくても、必ず本人の進むべき方へ育っているのです。 

 大人は子どもよりも感情のコントロールができ、相手の文脈で理解することができるはず。だから、悩んだ時にこそ呪文のように「あれがこの子の精一杯なんだ」「この行動がこの子のメッセージなんだ」と自分に言い聞かせると、今までより少し、子どもへの関わりが優しくなることでしょう。そのことが、のちに子どもに影響を与えると先生は語ります。「優しくされた、してもらったことのある子どもは優しくなります。話を聞いてもらったことのある子は、話が聞ける子になります。自分で自分のことを決めたっていう体験をしたことのある子は、自分で自分のことを決めていくっていうことができます。」

その後の子どもの様子を見ながら、大人の思いを伝えていく

 ただし、理解して受け止めることと、全て子どもの言いなりになることは違うと先生は明言されました。

 「絶対にどんな状況であっても譲れないことは何なのかっていうことは、大人の中で決めていることは大事なことだと思います。兄弟に手を出すことは絶対に譲れない、高額な課金はできない――そうした明確な境界線を持ち、一貫して伝え続けることが必要です。」

 それと同時に、辛い状況にあるSOSを出している子どもたちにとって、その境界線が持つ意味を考える必要があると、先生は言います。例えば、昼夜逆転しそうな子に対して「健康のためには朝起きようね」というのは正しい。でも、夜の時間が子どもにとって唯一ホッとできる時間であれば、その昼夜逆転には意味がある。こちらが譲ることに意味があるかもしれない、と柔軟な対応を提案されました。

 また、「思ったことや伝えたいことは伝えてください」と先生は言います。「ちょっとは学校行っといでよ」と言ってもいい。言った後の子どもの様子を見ることが大切なのです。「じゃあ行く」と言ったら、行けばいい。「ママ行ってきてよ」と言ったら、それが答え。それに応じて大人が自分の行動を修正していけばよいと、先生は語ります。

 子どもも、大人も、同じ状態の人はいません。だから、我が子に関わり続ける保護者の方こそが、その子にとっての最高のパートナーになりうるのです。

 今回は、2025年11月22日に行われた講演会「子どもを信じる~思い通りにならない子どもにどう寄り添うか~」での橋本弘美先生のお話のまとめ(前編)をお届けしました。後編もお楽しみに!

 

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