「ひらじい交流会」レポート
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「ひらじい交流会」レポート

 2025年9月21日(日)、世田谷区立保健医療福祉総合プラザにて行われた、世田谷ブライトネットワーク主催の「ひらじい交流会」を訪問しました。この記事では、この日の会の様子と「ひらじい」こと平沢さんのお話をご紹介します。

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★今後のひらじい交流会実施情報が掲載されるイベントページはこちら

次回は、11月30日(日)14時より、花見堂地区会館第1会議室にて実施予定です。会場へのアクセスはこちらからご確認ください。

「ひらじい交流会」は、小中高校の教員、複数区の教育センター所長、全国学校教育相談研究会の事務局長などを経験され、不登校状態にある子どもやその保護者に長年寄り添われてきた平沢さんと、不登校の保護者・当事者の交流会です。ご自身が「ひらじいは…」と名乗られるので、子どもたちも「ひらじい!」「平沢さん!」と呼んで慕っています。

また、同じ時間帯には同じ建物内の近くの部屋が子どもたちの過ごせる場所になっていて、「からちゅん子どものつどい」(会の詳細・過去のイベントレポートはこちら)を運営しているスタッフがいました。保護者がお子さんと離れて過ごす時間を持ち、保護者同士だけの場だからこそ出せる思いや悩みを共有できるように、また、子どもたちがそれぞれの好きなことをしながらゆったりと過ごせる部屋が設けられているそうです。

この日の会場は、梅ヶ丘駅から徒歩5分、世田谷区立保健医療福祉総合プラザの区民活動会議室でした。部屋はきれいで広くて明るく、四角く真ん中を向いて配置された長机と椅子に座り、皆が平沢さんや仲間の方を向いて話し合える形になっています。各机には、参加者が自由に取れるようにお菓子が置いてありました。

プログラムは、最初の約40分で平沢さんからのお話があり、その後保護者の交流会として参加者からの質問や相談などに平沢さんが答えてくださる形で進みました。

今回のお話のテーマは「ソマティック・エクスペリエンスを少し知る」。…トラウマ療法についてのお話でした。「不登校の要因にトラウマがあるかもしれない」という視点に立ち、トラウマを受けた人に見られる症状や、トラウマ療法の1つであるソマティック・エクスペリエンスの実践に関する紹介がなされました。平沢さんが毎回テーマに選ばれることは、「不登校に関するトレンド情報や文部科学省やその行政の動きなど」について。過去にはこんなテーマのお話があったそうです。

「『大丈夫!不登校』を読む」「コーチング『ほめ方・叱り方』」「令和型不登校を考える」

「ゲーム依存を考える」「令和5年度の不登校に関する国の調査(問題行動等調査)について」

「絵本ワークショップ」「ブリーフセラピーについて」

子どもの不登校について思い悩む保護者にとっては、新しい視点を得られるテーマばかりで、気づきや振り返りのきっかけになります。

後半は、今回は主に学校、先生と、子ども・保護者のやり取りについての相談が続きました。どの相談も不登校経験のある子どもやその保護者にとって無関係なことではなく、それぞれの相談について、子どもの困りごとに共感してくださる平沢さんや参加者の方々と一緒に考える時間は、とても密度の高いものでした。また、すぐに解決できる問題ではなくとも、平沢さんが「一緒に考えましょう」と言ってくださることが参加者の救いになるのだと感じました。

この時間、平沢さんは次の点を意識して進行をしているそうです。

  • 参加の方々がそれぞれのお子さんの状況、学校・教育委員会に対する思い、悩みや辛さなどを特に指名することなく、自由に発言していていただく
  • こんな時、あんな時どうしたらいいのかの質問が出れば、平じいだけでなく、経験者や同じ悩みをもつ方からの発言で、みんなで解決策等を探る
  • 学校や教育委員会への対応の仕方や過去の事例など、平じいの経験値を基に、交流会が参加者にとって癒しや勇気・元気づけの場となるようにファシリテーションしていく

最後に、平沢さんに伺いました。

 一番は、心理的安全性です。具体的には、秘密が守られ、共感的に受容し、支え合う雰囲気が醸成されることだと考えています。その雰囲気がうまく作れるかな?ということを、会の最初から終わるまで意識しています。
 もう1つ、みなさんが少し安心したり、元気をもらったりして帰ってもらえる場であることも大切にしています。そのために、勇気を出してここで話せてよかったと思ってもらえるようなファシリテーションを心掛けています。また、勤務経験のある者として学校や教育委員会などの立場を説明することはあるけれど、あくまで子どもを主語に置いて話すことも意識しています。

 今、トラウマ療法というものが世の中でポピュラーになり始めています。不登校の子たちが抱えているトラウマに注目して、それをちゃんと癒やしてあげることで次の一歩に出やすくなるのではないかと思うのです。例えば、トラウマを抱えたままもう一度学校に挑戦するよりは、しっかり癒やしてあげてからの方が良いのではないか、と。こんな風に、不登校の子どもたちへのトラウマ療法が主流になっていくのではないかと思っているので、今回はこのテーマにしました。

 私は理論派ではなく、今まで関わった1000人近い子どもたちから色々なことを教わってきたので、今問題を抱えたり苦しんだりしている保護者の方に、その思いをお伝えしていくことが交流会の目的のひとつです。絶対的な心理的安全性を確保しますし、ご自分の話をしなくてもいいので、この交流会の雰囲気だけでも体験されるといいなと思います。ここに来てくださっている皆さん(支え合う保護者)の雰囲気が、癒しになると思います。

 今回は「ひらじい交流会」を訪問しました。日頃から子どもに関わっているスタッフのいる子どもたち用の部屋もあり、保護者のみなさまが落ち着いた空間の中で日々の思いを共有し、エネルギーを貯められる場になっていることが感じられました。 これからも「ひらじい交流会」をはじめ保護者の方同士がお話できる場やイベントのお知らせをしてまいりますので、ぜひご覧いただき、ご自身のタイミングで足を運んでみてください!

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