「8Dこども教室　Kii場所/NIJINアカデミー世田谷下高井戸8D校」訪問レポート

　2025年11月、世田谷区の京王線・世田谷線 下高井戸駅の近くにある8Dこども教室の居場所「Kii場所 / NIJINアカデミー世田谷下高井戸8D校」に伺い、子どもたちやスタッフのみなさんと一緒に過ごしてきました。この記事ではその様子をレポートします。

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　8Dこども教室は、下高井戸駅近くのビルの3階にあるひと部屋で開かれています。10時の開室にあわせて子どもたちが集まり、この日の午前中には6人の子どもと教室長のしめじゅんが一緒に過ごしていました。子どもたちは、来室するとまず、専用のノートにスタンプを押します。そのノートに絵を描いたり写真を貼ったり、それを他の子やスタッフに見せている子もいました。

　この場所ではもともと「Kii場所」として活動が行われていましたが、2025年6月からはメタバース空間を持つオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」とのコラボレーションが始まりました。取材日に来室していた子の中には両方に登録している子もおり、ここに来る日はメタバースではなく対面での活動に参加するそうです。

　その日のメタバース空間の様子も、パソコンの画面を通じて見せていただきました。複数のクラスで異なる活動が行われていたり、登録曜日以外でも気軽に立ち寄れる「お話ルーム」があったりと、オンラインながら人とのつながりが感じられる場になっていました。しめじゅんが大切にしているのは「オンラインでも対話ができる場であること」。その点に共感し、NIJINアカデミーとの連携が始まったのだと伺いました。

　取材中、教室で過ごしていた子どもたちは、思い思いの遊びを楽しんでいました。まず、子どもたちから「グラグラやりたい！」という声が上がり、空気で膨らませたトランポリンを跳び箱の上に置いて乗る遊びが始まりました。これはこの教室での定番の遊びなのだそうで、体の動きに合わせて揺れるクッションに乗る子どもたちの楽しそうな声に部屋が包まれていました。ほかにも、ダンスオーディションごっこをしたり、3週間前まで鍵盤に触れたことがなかった子がスタッフに教わって弾けるようになった「猫ふんじゃった」を披露したりする場面もありました。みんなの注目を集めながら活発に動く子も、その様子を眺めながらゆったりと過ごす子もいましたが、その場にいる全員がそれぞれの心地よい距離感で同じ時間を共有している印象を受けました。

　遊んでいる最中、1人の子がしめじゅんに話しかけていました。その子は、遊びで自分が使いたいと思っている場所に他の子が留まっており、どうしようかと相談していました。その時しめじゅんは、他の子にその子の要望を伝えるのではなく、その子に対して「本人に聞いてみよう」と提案していました。その提案を受けて、その子は他の子に直接「そこ使ってもいい？」と声をかけ、聞かれた子は「分かった！」と快く場所を譲っていました。このやり取りを見守っていたしめじゅんは、相談をしに来た子に「伝わったね！」と声をかけていました。こうした場面の1つひとつから、この教室の中で「対話を通じて他者と心を通わせる経験」が大切にされていることが感じられました。

　しめじゅんは、「教室での日々の中で自他を信頼し、対話を重ねる経験を積むことが、ひいては世界平和（調和）につながると考えている」と話していました。8Dこども教室では、正解不正解を越えた伝える喜びを共有共感するコミュニケーションゲーム「だすだすゲーム」（詳細はこちら）の開発も手がけているそうです。